任地で活動(?)を始めてから早くも半年が経ちました。
まだ半年なのか、もう半年なのか、私にとってそれは重要ですが、見方を変えれば全く重要ではありません。
今回は半年経過しての報告に代えて、タイトルの通り「ゴミ野郎」を廃業したことについて書いていこうと思います。
「ゴミ野郎」とは!?
「ゴミ野郎」というのは、私が主に同期の環境教育隊員達とのやり取りの中で、自分について自虐と誇りを合わせて言及する際に用いる表現です。
私が派遣された平成25年4次隊の環境教育隊員は20名以上います。
その大半は任地でゴミの分別やリサイクルの普及を行う活動にも関わらず、ゴミ処理あるいはリサイクルの職務経験がある人間は私1人しかいません。
(近い分野では清掃会社出身が1人、環境分析会社出身が1人います。)
(近い分野では清掃会社出身が1人、環境分析会社出身が1人います。)
要するに、「環境教育隊員で専門知識と経験あるのって俺だけじゃん!!ひゃっはーーー!!!」と、天狗になっていたわけです。
ところが、その一方で他の同期隊員のように、有名企業で営業していたとか、商社で働いていたとか、海外で働いていたわけではありません。
つまり、本当にゴミ(しかも建築系産業廃棄物というマニアックなもの)のことしか知らないのです。
ということで、自分のことを皮肉も込めて「ゴミ野郎」と自称するようになりました。
この「ゴミ野郎」、おそらく任地で求められる仕事がリサイクル機材の導入みたいなものであればニーズ通りだったのでしょうけど、半年以上経ってようやく、私はそれがとんだ勘違いだったことに気が付いたのです。
青年海外協力隊の配属先あるある
よく協力隊の経験者の方々から聞かれる話で「配属先に予算がない。」というものがあります。
予算がないのは私も理解していました。
とはいえ、まさか軽トラの1台すらも所有していなかったとは・・・。
Community-Based Recycle Systemとかいうものを考えた
(あー、やっぱり英語にするとカッコいいなぁ・・・(笑))
先日、日本の小中学校や自治会で行われている集団資源回収を参考にして、同様の仕組みがウエノ島でもできるのではないかと企画書を作成してみました。
私の拙い英語で何とか2ページだけ書いて局長に提出したところ、根本的な勘違いをしていたことが発覚し、企画はお蔵入りになりました・・・。
当初、島内の各村落で特定の日に、村落の集会場所にリサイクル可能な缶類、ペットボトルを持ち込んでもらえば、パブリックワークス(配属先である環境保護局の下部組織であり、家庭ゴミの収集を行っています。)の軽トラックが島内唯一のリサイクル会社に運搬する、という仕組みを考えていました。
しかし、局長に指摘された問題点は「そもそもパブリックワークスは自前の軽トラックを所有していない。」という点でした・・・。
『開発フィールドワーカー』著者の野田先生の言葉をお借りすれば、「パブリックワークスは車両を所有している」という仮説が間違っていたのです。
(ついでに書くと「車両の燃料費くらいも出せるだろ」という甘い見通しも間違っていました。)
(ついでに書くと「車両の燃料費くらいも出せるだろ」という甘い見通しも間違っていました。)
CBRという略称も気に入っていたのですがあっさりボツになりました・・・。
(・・・ここまでが先週金曜日までの話です。)
もう1つのボツ企画
この件に関しては配属先の事情は関係ありません。
何が2つのボツ企画を産んだのか?
ここまで読んでくださった方ならお気づきだと思いますが、上記のボツ企画の根底にあるのは「ゴミ野郎」としての私の発想です。
産廃処理会社で働いていたからこそ、「リサイクルの機材を導入したい」や「リサイクルの仕組みを作りたい」などと考えていたのです。
もちろん、条件さえ揃えば「ゴミ野郎」の発想も現地に適応できるでしょう。(充分な予算があるとか、機材を扱える技術者がいるとか。)
でも、ここではほんの数年前までゴミの定期回収すら行われていなかったのです。
きっかけは自分にとって意外な人物の一言だった
ちょっと話が逸れますが、上記の局長というのは私のホームステイ先のホストファザーでもあります。
(フツー、上司の家がホームステイ先なんてありえないと思うんだけどね。)
(フツー、上司の家がホームステイ先なんてありえないと思うんだけどね。)
先日、ちょっと家でその局長と口論(向こうもそう認識しているかは知らない)したのもあって、個人的にはあまり話したくありませんでした。
とはいえ、私も活動を少しずつでも進めなければいけませんので、企画の承認とコメントをもらう必要があります。
そこで先週金曜日の企画の話になるのですが、(その場ではかなりイライラしてしまったのですが)後から振り返ってみると彼なりに的確なコメントを私に与えてくれていました。
その中にヒントがありました。
「この島はちょっと前まで路上もゴミで溢れていたんだ。それがゴミの定期回収が始まったことで劇的に改善された。」
同じことは以前にも聞かされていました。
その時は「ふーん、でもまだこんなにゴミが落ちているし、路上も所々臭いし、やっぱりポイ捨てをどうにかしないといけないな。」なんて考えていましたが、今なら違う解釈ができます。
0点から60点に上げるか、60点を100点に限りなく近づけるか
また話が逸れます。
活動開始から半年経過した今こそ読み直すべきだろうと思い、この週末を利用して日本から持参した野田先生の『開発フィールドワーカー』を再読しました。
(私は近い将来に国際開発で職を得たいと考えていますので、この業界(?)でのロールモデルと勝手に見なしている人がいますが、野田先生はそのうちのお一人です。)
(私は近い将来に国際開発で職を得たいと考えていますので、この業界(?)でのロールモデルと勝手に見なしている人がいますが、野田先生はそのうちのお一人です。)
・・・結果、野田先生の講義も自腹で受講したことがあるというのに、そのエッセンスが全く自分に活きていなかったと気づきました。
野田先生は開発協力の受益者となる住民の視点に立つことの重要性を繰り返し説かれていますが、あろうことか私は「ゴミ野郎」としての活動にこだわるあまり、いつの間にかその視点がすっぽ抜けていました。
つまり、住民のリアリティとしては「路上のポイ捨てがここまで減ったからオッケー!」ということかもしれず、現状以上のクオリティを私が(私のリアリティに基づいて)要求することは「ゴミ野郎」、というか「先進国からのアウトサイダー」が求めるエゴでしかないかもしれないのです。
(誤解がないように書いておきますが、私は環境問題に関しては0点か100点しかないと考えています。60点で解決なんてことはありえない。ですが、ここでは立場上60点で納得せざるを得ません。)
(誤解がないように書いておきますが、私は環境問題に関しては0点か100点しかないと考えています。60点で解決なんてことはありえない。ですが、ここでは立場上60点で納得せざるを得ません。)
とはいえ、例えば現在高校生を対象に行っている環境意識調査の途中経過で示されているように、ゴミのポイ捨ても含めて、島の環境悪化に危機感を抱いている人もいます。
住民の中でそのように意見が分かれることは当然のことで、それこそ環境意識の個人差が作用しているのかもしれません。
ただ、ここで重要なことは「これでいいじゃないか。」と現状で満足している人に対して、更に上の要求をすることは実現が難しいばかりかコストの無駄に終わるかもしれないということです。
数学のテストで今まで0点ばかり採っていた人が努力して60点を採れるようになったのに、更に努力を要求して100点に近づけようというのは酷な話ではないでしょうか?
(それが苦手なことなら尚更です。)
(それが苦手なことなら尚更です。)
それなら、他の科目に目を向けてみようということです。
オプションを増やす
また余談ですが、現地住民の人と話して時々言われるのが、「EPA?何それ?」あるいは「EPAって何もしてないじゃん。」ということです。
(EPAとは前述の環境保護局のこと)
(EPAとは前述の環境保護局のこと)
要するに、EPAの事業について、あるいはEPAそのものの認知度がどうも低いかもしれない気がするのです。
(仮説ですが。)
(仮説ですが。)
そこで思いついたことが「EPAの事業内容とゴミについての豆知識を書いたパンフレットを配布したらどうだろうか」ということです。
もの凄くありきたりですし、「半年も経過してそれかよ!!」という気もしますが。
ただ、予算が限られ、現地住民のリアリティに合わせられ、なおかつ配属先のニーズも満たすのはこれしかないように思うのです。
(「配属先のニーズ」も同時に満たす必要があるのは、青年海外協力隊員が配属先では下っ端職員であることに起因します。シニアボランティアの場合はもう少し自由度高いかも。)
(「配属先のニーズ」も同時に満たす必要があるのは、青年海外協力隊員が配属先では下っ端職員であることに起因します。シニアボランティアの場合はもう少し自由度高いかも。)
現地の人達にはまだまだ「プラスチックが分解されるまで途方もない時間がかかる」とか「いくつかの品目はリサイクル会社でリサイクルできる」ということが認知されていません。
(これも仮説ですが・・・。)
(これも仮説ですが・・・。)
であるならば、ゴミのポイ捨てによる環境負荷や、正しい処理方法等(リサイクル会社への持ち込み、生ごみからコンポスト作成、廃油から石鹸等)の知識を与えたうえで、「あとはあなたたち次第です」というのは日本人からしてみれば無責任に見えるかもしれませんが、現地住民からしてみればプレッシャーがかからなくて良いかもしれません。
60点を100点に上げたい人達へのオプション
この層の人達は若者を想定しており、現状では各高校でエコクラブ活動を展開して、彼/彼女らに自分たちにできることを徹底的に考えてもらったうえでゴミの削減等を目的とした活動を行ってもらうことを期待しています。(投げやり(笑))
ということで
随分長くなってしまいましたが、最後に「ゴミ野郎」の廃業を宣言しておこうと思います。
今後は「ゴミ野郎」ではなくEnvironmental Educatorと自称しようと思ったのですが、英語だとカッコよくなってしまうので「環境バカ」にしておきますか。
あ、でもこれだと上述の100点を目指す人になってしまいますので「ライト層向け環境バカ」にしておきますか。
(略して「ラ環」。ちょっと哲学チックな響きになりました(笑))
(略して「ラ環」。ちょっと哲学チックな響きになりました(笑))
半年経過しましたけど、それは現地の人からしてみれば「知らんわ」って話なので、今後は「よりまったりと!それでいて仕事はきっちりと!ただしライト層向けに!!」をモットーに頑張っていこうと思います!!
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