彼女はシカゴ大学の天文学者でGiant Megellan Telescopeという直径24.5mにもなる望遠鏡の建設に携わっているということで、スピーチではそれについて情熱的に語っていた。
その望遠鏡を用いれば1000万光年先の銀河の画像もハッキリと見えるようになるのだそうな。
なるほど、やはり宇宙は壮大で、だからこそ面白い。
私は残念ながら興味を持つのが大変遅くなってしまったが、幼い頃から宇宙開発に携わることを夢見続けて、結果的には数少ない日本人技術者としてNASAに職を得た人もいる。
『宇宙を目指して海を渡る MITで得た学び、NASA転職を決めた理由』の著者、小野雅裕さんだ。
あなたが幼少の頃に抱いた夢は何だったろうか?
大半の人のそれは漠然としたものか、極端に卑近なものだったのではないかと思う。
かくいう私の夢はバスの運転手だったが。
著者の夢もまた漠然としたものだったはずだ。
しかし、ただ漠然だっただけではない、シンプルゆえの力強さがあったのだ。
そうした夢はずっと長いこと抱き、そして育てることができる。
だからこそ、コツコツと勉強を重ねて東大を経てMITに入ることができたのだろう。
なるほど、夢というのはシンプルであった方が良いようだ。
さらにシンプルであるがゆえに嘘をつけないのだ。
アメリカの大学院は激しい競争社会
さて、どれほど強い夢を持って渡米したところで若い日本の侍をポキっとへし折ってしまうくらいにはアメリカの大学院での競争は激しいらしい。
アメリカのトップスクールの博士課程ではReserch Assistantship制度を通して学費相当額が支給されるばかりか、給料も支払われる。
ただし競争を勝ち抜けれれば、の話である。
並の学生ならこの熾烈な争いに敗れて母国に帰ることになりそうだ。
著者は並の学生ではないと思われるが、それでもRAの枠を手にするまでに半年を要している。
競争に敗れることばかりを考えれば気の重くなるような仕組みだが、こと学業に関する限りでは競争原理は健全ではないだろうか。
競争に勝ち残った暁には正当な報酬が得られるのだから。
その一方で、努力に対して正当な報酬が支払われないのが多くの日本の職場や学校だったりするのである。
ぬるま湯に浸かり続けるか、大海に漕ぎ出すか
著者は先にMITに留学していた友人から「自信があるなら来てみれば?」と言われたそうな。
自信があるなら。
自信というのはなんとも曖昧な尺度だ。
ともすればそれによって自分の実力を測り間違えてしまいかねない。
それでも自信があれば大海に漕ぎ出しても、きっとどうにかやっていけるような気にもなる。
私事になるが、国際開発について大学院で学びたいと考えたときに国内の大学院はどうにもぬるま湯のように思えて仕方なかった。
特に根拠があるわけではない。
しかし、例えば日本の大学院なら語学で苦労するはずはなく、それだけでも充分にぬるく思えた。
他方、海外に目を向ければ国際開発ではイギリスが有名だと言う。
特に有名なのはサセックス大学、マンチェスター大学。
前者は日本人がこぞって入学する所のらしいので、後者をターゲットに絞った。
アメリカとイギリスという違いもあるし、理系かそれ以外かという違いもある。
とはいえ、この本から私が受けた影響は底知れない。
色々あって、私が宇宙に行くことは生きている間はなさそうだ。
しかし私が抱えている夢は、宇宙に飛び出した宇宙飛行士が振り返った時に地球が豊かな緑と海とで青々と輝いている姿を見せることだ。
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