「残酷だからやめろ」という人々が少なからずいますが、残酷というのならあらゆる畜産業は漏れなく残酷ですし、例えばその極みでもあるフォアグラの製造に対して主要なNGOが反対の声を挙げていないのが私には不思議に思えます。
私個人の意見としては、生態系に負担を強いることなく、それでいて獲りすぎて余るようなことがなければ捕獲してもいいじゃないかと考えています。
この点において、イルカに限らず他の全ての動物も同様です。
ところで、チュークでは日本の皆さんもよくご存知のとある海洋動物が時折捕まえられます。
あれはもう4か月ほど前のことです。
2年に1度(毎年やれよw)の島内のゴミの排出量調査に合わせて日本から専門家の方がやって来た時のことです。
調査のサンプルとして、とあるご家庭を訪問した際に専門家の方(協力隊OGで早食い)が発見しました。
家の脇に横たわった・・・ウミガメを。
全部で4匹いた。 |
詳しい話は聞きそびれたのですが、チューク環礁内ではサメやマンタを見かけることもありますので、おそらく環礁内で獲れたのでしょう。
それ、レッドリストに登録されていますよ
WWFのHPによると、現在ウミガメは全種類がIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストに登録されています。
つまり、適切な保護を施さないと絶滅してしまうということです。
そんな超貴重な動物をここの人達は食べています。(といっても、年に1度あるかないかのご馳走ってレベルですが。)
こうした現状に対して、チューク州の環境政策の施策機関であるEPAは何の対策も採っていません。ていうか、局長の家にホームステイしていた頃に食卓に上がりましたが。(味は生臭くて私は嫌いです。)
食べた人に問題を引き起こす可能性もある
水俣病に詳しい方なら生物濃縮という言葉を聞いたことがあるかもしれません。これは、生態系ピラミッドの下層にいる動植物を摂取する上層の生物は、より汚染されているというものです。
水俣湾のケースでは、チッソの工場から流出した水銀が海に流れ込み、それがまずは細かなプランクトンや比較的小さい魚介類に吸収されます。そして、それらの生物よりも一回り大きな魚類がそれらを捕食します。
水銀と一緒に。
捕食量は上層の生物になればなるほど多くなりますので、汚染の程度はそれに従って深刻化していきます。
これが生物濃縮です。
これと同様のことがチュークのウミガメに起こっていないとは言い切れません。
また、アメリカ統治時代からの生活の極端な変化によって多様なゴミが海に流出しています。これらのゴミがウミガメに摂取されたり、あるいは彼らを死に至らしめたりする可能性もあります。
日常的にではないにせよ、ウミガメの食用はこうした危険も孕んでいます。
文化を止めることは可能か?
そうは言っても、チュークの人々にとってウミガメを獲ることは太地町の人達がイルカ漁を行うことと同じくらい文化として根付いています。今やそれだけで生活していくことはないにしても、貴重な収入源となることも間違いではありません。(2015年10月23日追記:1匹500ドルで販売されます。)
法整備をして頭ごなしに禁止することは簡単でしょう。
ただ、それは1つの伝統文化が亡くなることと引き換えですが。
それに、ウミガメの個体数がこれほど激減した原因は先進国の人々がべっ甲を欲しがったことからではないでしょうか?というのも、チューク州の人口(44,000人ほど)から生じる需要なんて大したものではないはずだからです。
いずれにせよ、私たちは文化としての漁と、嗜好品として消費するためだけの漁を分ける必要はありそうです。
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