2015年9月28日月曜日

10ヶ月で失敗って結論づけるなんて。開発途上国で事業を始めるなんて簡単なことじゃないよ。

ネットの海を西へ東へと漂っていたらこんな記事を目にしました。


e-Educationの団体のプロジェクトを通してスリランカに行っていた大学生について書かれた記事なのですが、思わず「そりゃないやろ!!」とエセ関西弁で突っ込んでしまいました。


なんとスリランカに行っていた期間はたったの10ヶ月だけ。


たったの10ヶ月で諦めるんじゃないっての!!



よそ者のアイディアがすぐに受け入れられるわけがない

新しいモノの価値が理解されるには時間がかかる



これはもちろん青年海外協力隊の活動もそうなのですが、よそ者の日本人が最新のテクノロジーやら知見やらを持ち込んだところですんなりと受け入れられるわけがないんです。


だって、それらは日本人には時間やお金をかける価値があるものかもしれませんけど、現地人にはそうではないかもしれないのです。教育が普及していない地域で新しい教育の取り組みを行うのであれば、少しずつ試行していき、徐々に成果を蓄積していくべきでしょう。


私には同様のプロジェクトを経験したことはありませんので断言はできませんが、10ヶ月なら試行して2、3回目の結果が出るか出ないかって頃じゃないでしょうか。



信頼関係を醸成するにも時間がかかる



また、派遣前訓練でみっちり語学訓練を受けている青年海外協力隊員ですら、10か月目といえばまだまだ現地の人との信頼関係の構築に苦戦している頃だと思います。この点に関してはインタビュアーのサトモトさんも
“いきなり知らない日本人が現れて、「こういう教育手法を取り入れていきたいから手伝って!!」って言われて、本当に乗ってくれる人ってどれだけいるのだろうか???“
と書いています。


これは予想ですけど、口約束のレベルでは協力を申し出る人はいたことでしょう。ただ、そこから先、どのように関係を構築していくかというのは交渉が必要になってくるはずです。端的に言えば報酬をどうするかってことですよね。そしてその報酬は互いの信頼関係によって大きく変化するはずです。


10ヶ月って反省する時間もないよね



元々どういう計画だったのかが分かりませんので何とも言えませんけど、仮にノープランで行ったとして、そこから講師を集めて教材作って受講者を集めて・・・という流れなのだとしたら、いわゆるPDCAを回す時間が全然ないのではないでしょうか。


というか、そもそもPDCAを短いスパンで回していれば10ヶ月目にして失敗なんて結論は出なかったと思うんです。そう考えると、PDCAのCが圧倒的に足りなかったとも言えます。



そもそも前提条件の設定は正しかったか

e-Educationモデル普及を妨げる要因を見落としていたのでは



私は彼女がスリランカのどういった地域で活動していたのかは知りません。ですので完全に憶測ですが、教育以前にインフラが整っていないとか、子どもが大学に進学されると困るような家庭がいる地域で活動していたのでは。


例えば前者なら、そもそも電気が通っていないってケースが考えられますし、後者にしても農作業の働き手が必要だから進学されると困るってことも想定できます。これらの場合、新しい教育モデルの普及以前にソーラー発電設備を建てるとか、農作業の効率化を行うことが必要でしょう。



「トップ大学に入学させる」ことにこだわっていたのでは



このNPOが最初に行ったバングラデシュでのプロジェクトがそうだったように、その国のトップ大学に入れることにこだわり過ぎていたのではないでしょうか?だって、スリランカの若者の高等教育へのアクセス率を高めるのであればトップ大学である必要はないわけです。日本に例えるなら、「僻地にいる高校生を東大に入学させる」ことと「僻地にいる高校生を東大でもMARCHでもどこでもいいから大学に入れさせて高等教育を受けさせる」ことが全く違うことは一目瞭然でしょう。


つまり、協力を仰ぐのはべつにトップ大学の大学生や関係者である必要はないのです。トップ大学が位置する都市にある他の大学にアプローチしてみるとか、他の都市にある大学に行ってみるとか、目的に対して手段はいくらでもあったはずです。ただ、これについてもやっぱり10ヶ月では足りなかったんじゃないかなとも思います。



10ヶ月経って帰国してしっかりCしてまたAすればいい



色々書きましたけど、彼女がまだ大学生であることを考えれば失敗しても全然いいですよ。
(ていうか、大学生とか年齢とか関係なく。次に活きるのなら失敗してもいいと個人的には感じます。)


「宇宙兄弟」の作中でもムッタが

“本気の失敗には価値がある”

って言ってますからね。


ただ、その失敗を価値あるものにするためには当然PDCAのCが不可欠です。そして既に帰国してきた彼女にしてみたら、今がまさにCの段階でしょう。自分の活動を振り返って「ここがダメだった」とか「こうするべきだった」とか反省しつつ、スリランカについてもっと勉強すればいいんです。


そして納得できるほどにCしたらA、つまりActionを起こせばいい。



以上、全てブーメランでした



ここまで偉そうに書いてきましたが、私自身も青年海外協力隊としてそうした現場にいるわけで、まさにそのPDCAのDの真っ最中なのです。そんな私にとって上述してきたことは全てブーメランとして私に返ってきます。


というか、人によっては「青年海外協力隊の2年間なんて開発途上国で新しいことを始めるには全然充分じゃないよね。」と思われることでしょう。(実際、私はそう思っています。)


それくらい開発途上国において限られた時間で新しい事業を起こすなんて相当ハードルが高いんです。


だからこそチャレンジしがいがあるのですが。


↓青年海外協力隊員のブログランキングに参加しています。
  にほんブログ村 海外生活ブログ 青年海外協力隊へ
にほんブログ村



このエントリーをはてなブックマークに追加

0 件のコメント:

コメントを投稿

最近はこんな記事が読まれています

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...