2015年7月9日木曜日

大学院で国際協力を学ぶなら国内、それとも海外?

国際協力あるいは国際開発の仕事をしようと考えている人が最初に考える事の1つが「国内の大学院に進学するか、それとも海外の大学院に進学するか」という問題でしょう。

私自身もこれまで金銭的な問題や地理的な問題から何度も検討し直しました。


どちらも一長一短あるのは事実ですし、まだ進学していない私がどっちがいいのかを断言していいのか微妙なところなので今回は両者を比較してみたいと思います。


※あくまでも、まだ大学院に進学していない一個人の話ですので「ここは違う!」という箇所があればご指摘していただけると助かります。


1. 国際協力の基礎教養である英語を身につけられるか?






以前、TOEICで860点を取るメリットについて書いた際に、国際協力の仕事に就くには英語が必須であることを説明しました。
(ていうか、そもそもこの業界を目指す人はこの点について異論はないでしょうし、説明する必要もないかと。)

そのため、国内であろうと海外であろうと仕事で使えるレベルの英語力を身につけなければなりません。


この点においては海外の大学院のほうが日常生活においても英語を使えなければならないので、ある程度のレベルまでは自然と向上するように思います。

さらに、海外の大学院であればディスカッションやグループワーク形式の授業も豊富なため、スピーキング力を求められるということは言うまでもないでしょう。
(もちろんその分キツイ)


一方で国内の大学院ではピンキリです。

国際協力研究科という名前を掲げていながら、英語での授業が一切ないなんてこともありえますし、留学生が全くいないということもあるでしょう。
(私立の大学院に多い気がします。)

反対に、留学生の比率がやたらと高くて、ほぼ全ての授業が英語で開講されている大学院もあります。
(例えば広島大学大学院国際協力研究科がこれに該当します。)


また、研究室によってはゼミを英語で進行するところもあるでしょう。
(例えば東京大学新領域創成科学研究科国際協力学専攻佐藤仁研究室では「授業によっては議論も含めて全て英語で行う」と書かれています。それにしても長い名前だ。


最近はスカイプ英会話がすっかりメジャーになったこともあり、日本にいながらにして英語を習得することのハードルは随分下がりました。

そうしたトレンドも踏まえると、英語を習得するために大学院に留学することはナンセンスと言えます。

逆に海外に留学しても英語が必ずしも身につくとは言えません。
(専門の勉強で忙しくなってしまうかもしれませんし。というより、一度大学院に留学してしまったら英語のための勉強をする時間はないはずです。)


とはいえ、総じて見たら海外の大学院に進学した方が英語習得という点では軍配が上がりそうです。


2. 学びたい分野のコースが開講されているか?



日本の国際協力、国際開発分野の大学院は非常に限られた数しかありません。

必然的に、国際協力、国際開発の中で更に細分化した専門領域の勉強をしようとしたときに選択肢が非常に限られます。


私が以前国内の大学院を検討した際、研究テーマとも学びたいこととも言えるものは「開発途上国における環境政策(主に廃棄物管理)の経済学的研究」でした。
(今もそれほど変わっていません。)

そうしたテーマで研究できそうなのは前出の佐藤研究室と広島大学国際協力研究科の金子慎治研究室だけでした。
(リンク先のページは現在Not Foundです。)
(私立の大学院はあまり調べていません。というのも日本の私立大学は国際的にネームバリューが皆無なので。ネームバリューという点では東大ですら怪しいみたいですが。)


私の例が特殊過ぎるのかもしれませんが、こと国際協力に関しては、ちょっとニッチな分野を深めたいと思うだけで一気に進学先を見つけるハードが上がってしまう印象です。


では海外ではどうでしょう?

はっきり言って海外に出れば勉強できないものなんてありません


当然ですよね。


海外に大学院なんて無数にありますからね。


英語でコースが提供されているという観点から見れば、アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリスはもちろんのこと、EU各国にも英語で開講されている大学院はあります。

フィリピン、インドなんて変わり種も考慮するべきでしょう。


特に開発学発祥の国と知られるイギリスに関してだけでも開発学ランキングトップ100に21校がランクインしています。
(日本からは東大が16位に入っているのみです。ランク算出の仕組みはこちら。)

しかも、それらの大学院のコースは細分化されており学生のニーズに合わせようという姿勢が窺われます。


例として、その中でも私が進学を考えているマンチェスター大学を見てみましょう。


(出典:The University of Manchester School of Environment, Education and Development)


1つの大学の中にこれほどの修士課程コースが用意されているのです。

これを見てしまうと数の限られた日本の中から選ぶのは馬鹿馬鹿しく感じてしまいます。


3. 国際協力業界での評判はどうか?



これは正直言って、実際に自分が業界の中に入らないと、つまり実際に就職するまでは分からないでしょう。

ですので、気にし過ぎなのかもしれません。

とはいえ先ほどのランキング(開発学)は国際協力、国際開発でどの大学院が優れた研究をしているのかを把握する目安にはなりますので10位まで転載しておきます。


  1. University of Sussex
  2. Harvard University
  3. The University of Manchester
  4. University of Oxford
  5. LSE
  6. University of California, Berkeley
  7. University of Cape Town
  8. University of Cambridge
  9. Stanford University
  10. The Australian National University


くどいようですが、日本からは16位に東大が入っているだけです。

ただし、教授個人が非常に優れた研究をしているということはどこの大学でもありえることなので、このランキングは選択肢を絞るための参考程度に留めていただければいいかと。


ちなみに、1位のサセックス大学はかのロバート・チェンバースが教鞭をとられていた参加型開発研究のメッカであり、UNDP等に卒業生を多数送り込んでいます。


4. 学費はどれほど必要か?



日本の国立大学の院に進学すれば授業料は大体60万円(1年あたり)でしょうか。

生活費が月々10万円かかるとすれば、2年で240万円となります。

授業料と合わせて400万円弱でしょうか。
(TAやアルバイトで収入が入る分は考慮していません。)


一方で海外の場合はピンキリです。

ドイツや北欧では外国人ですら授業料が無料になることもあるそうですが、イギリスあたりは留学受け入れをビジネスと考えている節がありますので授業料だけでも日本の倍ということもありえます。


いずれにせよ、海外での方が資金がより必要になることは間違いありません。


ただ、仮に奨学金を借り入れて大学院留学したとしても国際協力業界は収入はかなり良いので、返済に困ることはないように思います。
(借金ができるという事実には変わりありませんが・・・。)


まとめ



ここに書いてきた情報だけでどちらが良いと判断することは難しいかもしれません。


また何かに気付いたり、新しい情報に触れたら都度更新していきます。



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