従来のリサイクル技術とは
先進国、途上国に関係なく、何かしらのゴミをリサイクルする際には巨大な設備が求められます。
なぜかと言うと、価値が全くなくなったゴミをリサイクルして付加価値を付けたところで少量では利益が見込めないからです。
例えば、私の任地にある唯一のリサイクル工場(現在稼働停止中)では収益率が比較的良い金属類を主に集めて、圧縮機で潰して容量を減らしたうえでコンテナに入れ、船で中国に運んでいました。
アルミ缶は優秀なリサイクル材料 |
その一方で、ペットボトルのリサイクルについては、破砕して細かくしたペットボトル(ペレットと呼ぶ)の市場価格下落に伴い、いくら集めても赤字になってしまうようで買い取りされなくなりました。
(※任地の工場では破砕はしていません。)
ペットボトルの圧縮作業 (中国企業だけあって安全指導が徹底されていないようです。) |
手前:圧縮後のペットボトル 奥:圧縮後のスクラップとアルミ缶 |
従来のリサイクル技術というのは、このように大量のゴミを回収もしくは買い取りして、リサイクルした製品を販売するというのが主流です。
(余談ですが、任地のリサイクル会社は厳密には中間処理業者に当たります。製品化は行っていないため。)
動脈サイドではBOPビジネスがあるが静脈サイドにはないっぽい
動脈とはモノの生産、流通、販売、消費までの一連の流れを指し、静脈は廃棄からリサイクルもしくは最終処分までの流れを指します。 (引用元:http://profile.ameba.jp/waste-creative-nobu) |
ところで、先ほどJICAが発行した青年海外協力隊員発のBOPビジネスの報告書を読んでいてあることに気付きました。
ほとんどの国で協力隊員は地元の産品を活かしたビジネスを考案しています。
(巨大な工場を作り大量生産をして大量に販売する「マスプロダクトビジネス」の対になるという意味では「マイクロプロダクトビジネス」と呼んでもいいかもしれません。)
これらの取り組み自体は称賛に値することなのですが、その一方でいわば「BOPリサイクルビジネス」というものがないことに違和感を覚えました。
先に述べたように既存のリサイクル技術を開発途上国に適応するには大規模な設備が必要です。
そしてそれを運営するためには資金は当然のことながら人材も必要です。
それはすなわち雇用を生み出せるということなので、環境問題と貧困問題を同時に解決することができます。
例えば、萬世リサイクルシステムズという会社はフィリピンのセブ島で事業を行っていますし、インドネシアでは西原商事という会社が廃棄物削減に貢献しています。
しかし、これらの企業が事業としてやっていけている理由は、収益が出るだけのゴミが発生していること、つまり人口の多い都市部だからこそ可能だということです。
言い換えれば、こうした事業モデルは「マスリサイクルビジネス」なのです。
島嶼国ではもちろんのこと、内陸部でも人口の少ないエリアではこの事業モデルによって収益を上げることはできないでしょう。
だからこそ私は「マイクロリサイクルビジネス」と言うべきものが必要なのではないかと思いつきました。
カギは家庭でも実践できるかどうかという点
上記のBOPビジネス報告書の中に、任地で収穫されて余っていた果物をジャムにして販売するというものがありました。
報告書を読んだ限りでは行っていることは家庭でできるレベルのものです。
それと同等のレベルでリサイクルができないか?ということが目下の課題です。
エコクラブ活動のために集めたリサイクル手法の中には家庭でできるものがいくつもありましたが、製品を販売して利益を出すとなると幾重にも工夫が必要そうです。
そしてその工夫には現地にあるものを活かすという観点が欠かせません。
そういう意味では、輸入した製品をリユース・リサイクルしたものでありながら、現地のカラーをアピールすることができるというのが最低条件でしょう。
一朝一夕でそんなものを考案できるはずはありませんが、これを思いつかない事には青年海外協力隊としてチュークに来た意味はなかったと言っても過言ではないでしょう。
だって、来る前から「任地でリサイクルビジネスの可能性を探る!」と公言していましたからね。
(すっかり忘れていましたけど。)
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